【製品開発ストーリー】ポケットレス作業服の開発。開発の背景とこれまで。今後は?
Asahichoでは、様々な作業着、作業服を開発製造、販売
Asahichoでは、様々な作業着、作業服を開発・製造し、販売しています。
デニム作業服の鎧-YOROI WORKS-や、作業者の存在の視覚的認知度を高める高視認安全服などがあります。
それらの作業服の中で、ポケットがない作業服「ポケットレス」シリーズがあります。
【製品案内】ポケットレスパンツ(ワンタック脇シャーリング) E0401
これらの他にもポケットレスの作業服がありますが、2012年に発売されたポケットレスシリーズは、ユーザー・お客様の声から開発された作業着です。
ということで、この記事では、その「ポケットレス」シリーズの開発までの過程や特徴などについてお伝えします。
異物混入防止作業服「ポケットレス」を求められた理由
ポケットレス作業服が存在していなかった2012年まで、年に数件、「ポケットが無い作業服がないか」という問い合わせがありました。
しかし、そのような製品はなかったため、「ポケットが無かったら作業上不便なためありません」と回答していました。
そうは言っても、どうしても欲しいという方もおり、そのような場合には、ポケットたたきつけ加工を案内しておりました。
問い合わせが毎年あるので、どのような理由からポケットがない作業服が欲しいのか、ポケットのない作業服が必要な理由をユーザーなどに聞いてみると、
『工場勤務の方が昼休憩に外出する際、ポケットに手を入れて歩いている姿が社長の目に留まり改善を求められた』
『ポケット内のコインや小物が落下し、機械が破損し、業務に支障が出た』
『学校実習服に採用された際、ポケットに手を入れたまま授業を受ける生徒がいるため止めさせたい』
といった話が返ってきました。
というわけで、そのようなニーズがあることを知り、Asahichoでポケットがない作業服を開発することに。
「ポケットレス」作業服の開発の過程
まず2011年4月に、「ポケットレス」作業服の開発は、社長の案からスタートしました。
そこから市場調査を行い、どのような現場で使用されているのかを調査することにしました。
・製紙会社
・食品加工
・運送屋
・動物園
・おむつ工場
・ライスセンター
・ダイヤモンド加工
などの現場で必要とされる製品なのかどうかを調査しました。
2012年の秋冬物として、ポケットレスブルゾン E141シリーズが完成!
その後、サンプルを作成し、4回ほど修正し、E141シリーズが完成しました!
E141シリーズは、上の写真にあるように、胸ポケットや脇ポケットなどがありません。
ポケットレスパンツ E151も、脇ポケット、後ろポケットがありません。
またファスナーとボタンなどの露出を抑えて、商品などへの傷つけを防止するなどの工夫もしています。
そして、2012年の秋冬物の新商品として、発売しました。
2013年春夏。E0371シリーズ
それから、2013年春夏物として、長袖シャツの企画がスタート。
しかし、仕様やデザイン、とくに配色の使い方で苦労することになりました。
どのようなカラー使いにするのか、なかなか難しいところでした。
完成したものを見ると、そこまで難しくなさそうに見えるかもしれませんが、シンプルなものほど、意外と完成させる苦労があるものです。
サンプルを作成して、3回の修正で完成し、カラーはブルーが追加されることになりました。
ユーザーからの要望で、ポケットレスブルゾン 14100を開発
そして、2016年の秋冬物として、ユーザーから、防寒着の要望があり、防寒のための企画が始まりました。
ベースとしての防寒着を選定し、それを元に、ポケットのないサンプルを作成し、完成したのが、「ポケットレスブルゾン 14100」です。
ポケットが一切ない軽量防寒です。
裏地はトリコット起毛の樹脂綿入りとなっています。
さらに重防寒着も「極寒®ポケットレスブルゾン 56000」
また、ユーザーから軽防寒では寒い現場があるという声があり、重防寒着の開発も行いまいした。
既存の防寒着のポケットをなくす加工をしていたが商品化することになり企画がスタートしました。
それが、2018年秋冬に発売した「極寒®ポケットレスブルゾン 56000」です。
表素材はポリエステル100%のツイル、裏地は保温性を高めるディンプルメッシュキルトにシンサレートハイロフトの高機能綿を使用しています。
極限の寒さから作業者を守るポケットが一切ない冷凍庫仕様の防寒ブルゾンです。
「ポケットレス」でのこだわり
このような経緯で、ポケットレス作業服は開発していったのですが、こだわった点などもあります。
ポケットレス作業服では、異物混入を防ぐため、ペン差しも含めて、すべてのポケットを付けないことにしました。
しかし、上着では、胸ポケットをなくすということにしましたが、平らになってしまい、デザイン上、面白みがなくなってしまいます。
このため、ポイントを出すために、前立てに配色を付け、胸ポケットがあるように見える仕様にしました。
こういった工夫を行って、見た目的にも、不自然ではないことにこだわるなどしています。
また、「上着にはポケットが必要だが、パンツには必要ない」(もしくは逆パターンも)と言うケースもあります。
そういったニーズにも対応できるように、既存品の派生版とし、シーンに合わせてコーディネートを実現できるようにしています。
一般的な作業服とポケットレスの違い
一般的な作業服とポケットレスの違いは、比較してみるとわかりやすいと思います。
こちらは、一般的な作業服、「長袖ブルゾン E140」(写真左)と「ポケットレスブルゾン E141」(写真右)です。
ポケットレスブルゾン E141が、スッキリとしたデザイン・見た目で、ポケットがなくなっているというのがわかると思います。
すっきりした見た目になっており、不自然ではない形を実現できている作業服になっています。
また、既存品と組み合わせても、違和感のない見た目・デザインにもなるように、シンプルですが地味になりすぎない形を実現しています。
ポケットレス作業服を製造している様子
ポケットレス作業服は、このような感じで製造されています。
こちらは、胸の部分などをアイロンでしっかり伸ばしているところです。
こちらは、襟の部分をミシンで縫い付けているところとなります。
「ポケットレス」はニッチな商品だが、評価は高い
作業服などの市場全体から見ると、「ポケットレス」作業服は、ニッチな商品です。
しかし、ポケットがないことで加工に掛かる手間・費用を省略でき、即納できるため、商品発表後から評価を得ています。
また、当初は持ち込み(異物混入)防止に重点を置いていましたが、金銭・証券等の持ち出し防止対策が必要な企業にも採用されています。
最近では、情報漏洩を防ぎたいというニーズもあり、こういったポケットのない作業服を求める声もあるなどしています。
今後の展開は?
ポケットレス作業着の今後の展開は未定ですが、ユーザーからの要望やニーズに合わせて、ポケットレス作業服などを展開していけたらと考えています。
何かありましたら、お問い合わせからお願いします。